氷見の魚はなぜおいしい?

富山湾は、暖流の『対馬海流』と年間を通して水温が1~2度という冷たくてミネラル豊富な『海洋深層水層』の二つが“層”をなしており、上部に対馬海流、下部に海洋深層水があります。そこには魚の餌となるプランクトンが豊富に存在するため、魚たちにとって豊かな場所となっています。

対馬海流の流れに沿って暖流系の魚が、そして日本海固有水(深層水)には冷水系の魚が生息するため魚種が豊富。日本海に分布する800種のうち500種の魚が生息しています。

更に、3000メートル級の立山連峰から流れる大量の雪解け水や山の森林から地面にしみ込み海底から湧き出す海底湧水が、豊富な栄養と酸素を海へと運び、魚が育ちやすい環境が作られています。

このような様々な好条件の環境要素が重なり、美味しい魚が育つことから、富山湾は『天然の生け簀』と呼ばれています。

また、富山湾で捕れる魚は日本海の複雑な潮流、激しい波浪を乗り越えてきており、適度に鍛えられ、身が締まり、程よく脂がのっています。

富山湾は海岸近くから急に水深が1000メートル級の海底谷があり、そこは魚たちの格好の住みかとなっています。その場所は藍色をしていることから「藍瓶(あいがめ)」とよばれています。

富山湾には16もの藍瓶があり、富山湾の中でも氷見沖は最も大陸棚が発達しているため、今も40数か所もの定置網が設置されており、県内随一の漁獲高を誇っています。

定置網で獲られた魚はすぐに冷たい氷水で沖締めされ仮死状態にし、鮮度を保ったまま即座に漁港へ運ばれセリにかけられます。

漁場から港までほとんどが20分以内と距離が近いので捕った魚を短時間で漁港へ運ぶことが出来ます。

そのため、氷見の人たちは普段から活きのいい魚を食べており、「氷見の人たちは氷見以外ではあまり魚を食べない」といわれているとか。